今、さまざまな動画配信サービスで、海外ドラマを見ることができますが、最近、WOWOWオンデマンドの海外ドラマを見る機会が多くなっていることに気づきました。
NETFLIXやDisney+など、メジャーな配信サービスに比べると、正直、だいぶ地味な印象のWOWOWオンデマンドですが、ここ最近、パラマウントの作品を積極的に配信していることもあり、特に大人がじっくり楽しめる良作が揃っている印象です。
そんなWOWOWオンデマンドで配信中の海外ドラマの中で、おすすめの作品5タイトルをご紹介します。
※2025年5月現在配信中の作品です
1.ザ・エージェンシー

最初にご紹介するのは、マイケル・ファスベンダー主演のスパイドラマ『ザ・エージェンシー』。
スーダンでの長年の潜入任務を終えてCIAロンドン支局に戻ってきた諜報員マーシャン(マイケル・ファスベンダー)が、ベラルーシで囚われ消息を絶ったCIAのスパイを探す、という新たな超困難任務に向き合う一方で、スーダンでの任務遂行のために関係を絶ったはずの元恋人と再会し、国際的な陰謀とスパイの危険なゲームに巻き込まれていく…というストーリー。
アクションよりも、スパイ同士の知能戦を楽しめる、硬質でスリリングな本格スパイドラマです。派手な演出は少なく、抑制的で静かな中に緊張感を高める演出で、物語の構造も、世界の様々な情勢が複雑に絡み合う内容なので、ゆったりリラックスして観るというよりは、画面に集中して観るタイプのドラマですね。

そして何と言っても主人公 のマーシャンを演じるマイケル・ファスベンダーのクールさと危うさが魅力的です。マーシャンのもとに、次から次へと難題(まさにミッションインポッシブル)が飛び込んでくるのですが、窮地に陥ってなお、マーシャンが本当は何を考えているか、視聴者も読み取れないほどクールでなんですよね。一方で、スパイとして別人になり続けたことで、人格の奥深くが壊れてしまっているような危うさもあり、目が離せません。
観てる側が、ドラマの中で誰が誰を騙していて、誰が騙されているか(もしかして観ている自分??)が瓦解してゲシュタルト崩壊する感覚。ドラマが常にこちらの一歩先を行っているような快感が味わえます。
また、マーシャンの上司をリチャード・ギアとジェフリー・ライトが演じていて、部下にはジョン・マガロもいたりと、キャストも豪華で見ごたえあります。
シーズン1は全10話。すでにシーズン2の製作も決まっています、ネタバレ控えますが、シーズン1最終話のラストは、シーズン2がものすごく楽しみになる終わり方なので新シーズンが待ち遠しくなること請け合いです。
2.ランドマン

続いてご紹介するのは『ランドマン』。『イエローストーン』シリーズで知られるテイラー・シェリダンが手掛けた、アメリカ・テキサス州西部を舞台にした社会派ヒューマンドラマです。
このドラマがおもしろいのは、「石油業界の現場」を描いた作品であること。これまでありそうでなかったテーマで、石油業界や石油採掘の現場をつぶさに描いていて、すごく新鮮に感じました。
”ランドマン”とは、石油業界の交渉人のこと。ベテランの”ランドマン”である主人公トミーを、名優ビリー・ボブ・ソーントンが演じています。石油採掘の土地の権利を確保し、石油会社と土地所有者の間で契約をまとめる仕事をしますが、時にはギャングとの交渉など、かなり危ない橋を渡ることも。
物語は、石油ブームで急速に変貌を遂げる町と、そこに生きる人々の姿を描きながら、巨大産業の栄光とその裏にある矛盾や犠牲を浮き彫りにします。私たちが、当たり前に依存している石油エネルギーの裏側に、こういう現場があるのかと思うと、少し胸がキュッと締めつけられる思いをしますね。
こう書いていくと、かなり社会派な作品に聞こえるかもしれませんが、主人公トミーのクセ強めな家族のシーンはハチャメチャで楽しく観られます。特にクセが強すぎる元妻と娘に翻弄されながら、皮肉とぼやきを言い放つトミー(ビリー・ボブ・ソーントン)の哀愁の味わい深さがたまりません!
『ランドマン』でお伝えしたい魅力がもう一つ。トミーの息子クーパーがものすごく魅力的なんです。その「憂い」を感じる佇まいに惹き込まれてしまいました。ジェイコブ・ロフランドという俳優さんだそうで、今後、ブレイクの予感満載ですね。

『ランドマン』は全10話。こちらもシーズン2の製作が決定しています。
3.ジャッカルの日

3作目は、エディ・レッドメイン主演の『ジャッカルの日』。フレデリック・フォーサイスの名作小説を現代風に再構築したイギリスドラマです。
見どころは、なんといってもエディ・レッドメイン演じる、“ジャッカル”と呼ばれる冷酷な暗殺者アレクサンダー・ダガンの暗殺ぶり。
暗殺のために、変幻自在にさまざまな人物に変装するジャッカルは、これまでさまざまな役を演じてきたエディ•レッドメインの真骨頂のような役柄です。そして、スナイパーとして超長距離射撃で撃ち抜くさまは、背筋がゾクッとするほどしびれます。「暗殺」という社会的に圧倒的に犯罪行為であるにもかかわらず、その極限的な技術に、背徳的なカタルシスを感じてしまいます。

物語は、暗殺者ジャッカル VS. ジャッカルを追うMI6の女性捜査官ビアンカ という構造で、ふつうなら正義側のMI6を応援すべきところですが、エディ・レッドメインの、心に闇を抱えた儚さと繊細さを滲みだす演技につい感情移入してしまい、暗殺者のジャッカルの方を応援してしまいます。
ぜひ、エディ・レッドメインの変幻自在の演技を堪能してみてください!
4.グッド・ワイフ

4作目は法廷ドラマ『グッド・ワイフ』。以前は、WOWOWではシーズン3までしか配信されていませんでしたが、最近、全7シーズン配信されるようになりました!久々に観返していますが、やっぱりおもしろいです!
主婦のアリシアが、州検事の夫がセックス・スキャンダル絡みの収賄罪で逮捕されたのをきっかけに、2人の子供たちとの生活を守るため13年ぶりに弁護士として復帰する、というストーリー。
毎回、1話完結で具体的な訴訟が描かれるのですが、その訴訟の内容自体がおもしろいんですよね。「仮想通貨」や「インターネット企業のプライバシー保護」など、2009年スタートのドラマですが、アメリカの社会問題をいち早く取り入れたエッジの効いた脚本で、今観返してみると、よりリアルに感じられます。当時このドラマが描いた社会問題が、現在になって世界中で顕在化している気がしますね。
1話完結のエピソードの中で、「現代社会における正義とは?」を考えさせてくれます。もちろん答えが出ない、苦みのある問いが多いですが、ドラマサイドの答えの出さなさ加減も絶妙です。
もう一つの『グッド・ワイフ』の魅力。主人公アリシアを取り巻くキャラクターがクセがあって魅力的なこと。特に、準レギュラー的に登場する弁護士やクライアント、検事たちがめちゃくちゃ変わり者ぞろいで魅力的なんです!

個人的にお気に入りなのが、左から、殺人鬼?(謎)の変態富豪 コリン・スウィーニー(ディラン・ベイカー)、奇人だけど頼りになる弁護士エルズベス・タシオニ(キャリー・プレストン)、そして自らの病気すら利用するしたたかで憎ったらしいライバル弁護士ルイス・ケニング(マイケル・J・フォックス)。時々しか出てきませんが、クセが強すぎて、そのクセがクセになって、登場すると“にんまり”してしまいます。ぜひ個性豊かな登場人物含めて楽しんでいただければと思います。
5.グッド・ファイト

最後に紹介するのが『グッド・ファイト』。『グッド・ワイフ』のスピンオフドラマですが、こちらも最近、WOWOWオンデマンドで全6シーズン配信されるようになりました!
このドラマを一言でほめるとすると、この制作陣は「狂っています」(あくまでほめ言葉)。その「狂気」がドラマを最高潮におもしろくしています。
その創作の根源は「反トランプ」。なんといっても、主人公のダイアン・ロックハート(クリスティーン・バランスキー)がドラマ内で猛烈な反トランプなんです。

2017年からシリーズがスタートしているのですが、2017年はトランプが一期目の大統領に就任した年。在任中の大統領を明確に批判するドラマって、日本ではちょっと考えられませんよね。日本とアメリカの文化の違いと、このドラマの制作陣の「胆力」を感じます。
シリーズ開始時は、トランプ政権をコミカルに揶揄する「風刺コメディ」といった様相ですが、物語・シーズンが進むにつれ、単なるアンチ・トランプ作品ではなく、トランプという存在が炙り出したアメリカ社会の根深い問題を、多面的かつ知的に掘り下げていきます。
「風刺」の毒っ気もどんどんエスカレートしていき、まるでフランツ・カフカの小説のような「悪夢」の只中にいるような感覚に襲われます。(毒が効きすぎて、やりすぎだと苦手な方もいるかもしれません。)
「法と秩序の崩壊」というテーマが繰り返し登場し、シリーズ後半の「民主主義」も「法」も機能しなくなったアメリカ社会には寒気すら催すかもしれません。シリーズ終盤は、ドラマの制作陣が、アメリカ社会に対して絶望しながら物語を立ち上げているような印象すら受けました。
シリーズはトランプ第二期政権が誕生する前に、シーズン6で終了していますが、トランプ関税に世界中が混乱し迷惑をこうむっている2025年の今、このドラマを観てみると、ドラマの説得力がより増しますね。トランプ第二期政権を受けて、新シリーズを始めてほしいぐらいです!
まとめ:WOWOWオンデマンドは“穴場”の良作揃い!
WOWOWオンデマンドはこのほかにも、大人が楽しめる良作が揃っています。
心理学の視点で描く法廷ドラマ『BULL 法廷を操る男』や、法廷ドラマ『グッド・ワイフ』のスピンオフドラマなのにコロンボのような捜査ものという『エルズベス』、また『警部補アニカ2』『刑事ヴィスティング』など北欧ドラマもラインナップが充実しています。
「メジャーな配信サービスでは観たい作品はもう一通り観てしまった」という方にとって、WOWOWオンデマンドはまさに“穴場”の宝庫。
ぜひ、お気に入りの1本を見つけてみてください。
最後までお読みくださりありがとうございました。
コメント