【Netflix】良質なリミテッド・シリーズ トップ3

良質なリミテッドシリーズが好きです。

リミテッドは「限られた」という意味。「リミテッドシリーズ」は何シーズンも続かずに、1シーズンで物語が完結するシリーズのこと。だいたい6話から8話ぐらいが多いですかね。

もちろん、何シーズンも続いてそのドラマの世界観に浸れるシリーズものも好きなのですが、シリーズものは、時として物語を転がすために強引な展開や急なキャラ変更が起こって、ちょっと冷めてしまうことも。あと、もう慣れましたけどシーズン最終話ラストのクリフハンガーもやりすぎるともやもやしますよね。

その点、リミテッドシリーズは1シーズンでしっかりストーリーが完結するので、質の高い作品はすごく濃厚に物語の世界に入り込めます。遊び的なエピソードや脱線も少なく、物語がゴールに向かってしっかり進むので見やすいですね。6話~8話ぐらいが多いので数日で一気に見終えることもできるのも魅力ですね。

Netflixで観たリミテッドシリーズの中でも、これは良質な作品だ!満足度が高かった作品トップ3をご案内します。 

目次

クイーンズ・ギャンビット

クイーンズ・ギャンビット
出典:Netflix

ネトフリのリミテッドシリーズと言えば「クイーンズ・ギャンビット」、というほどNetflixのリミテッドシリーズの代表ともいえる作品ですね。

1950~60年代のチェスの世界を舞台にした、アニャ・テイラー=ジョイ演じる天才チェス少女ベスの、実話をもとにしたサクセスストーリー。

映像・脚本・美術・音楽・キャスト・演出、すべてがかみ合っていて質が高く、完成度の高さに感嘆しました。全7話、物語が澱むことなく、濃密に駆け抜けます。シリーズドラマ、というよりも7話分かけた1本の映画を見たような読後感で、これこそリミテッドシリーズならではの視聴体験だと思いました。完璧、に近い作品。

男性優位のチェスの世界で、ベスが男性プレイヤーを「なぎ倒して」いくさまは、まさに王道スポ根的な爽快感たっぷり。普通の物語だと癖が強すぎることもある、アニャ・テイラー=ジョイの強烈な個性が、ベスを唯一無二な存在にしていて、ほんとうにすべてがかみ合った作品だと感じました。

アンビリーバブル たった1つの真実

出典:Netflix

若い女性によるレイプ被害の訴えを、普段から素行に問題があることから作り話として片付けた警察。しかし数年後、酷似した手口の事件が続き、2人の女性刑事が捜査に乗り出す。実話に着想を得た全8話のリミテッドシリーズ。

派手さは全くありません。淡々と丁寧に描写し物語を紡ぐ真摯さが、このドラマは信用できるし、目が離せないなと感じさせてくれました。実話から着想を得ていることもあり、斬新な謎解きや派手なアクションシーンもありません。とにかく地道に一つ一つの手がかりを調べては、一進一退を繰り返しながら少しずつ犯人に迫っていく。実際の犯罪捜査は、こういった一つ一つの地道な積み重ねなのかなと改めて思いました。

事件に向き合う2人の女性刑事も、あまたある刑事ドラマのテンプレ的なキャラクターとは異なり、ざらっとしたリアリティを感じるキャラクター造形ですばらしかったです。

とにかく1話が辛くて救いがなく(レイプ被害に加え警察による二次被害)リタイアしそうになるかもしれません。2話から女性刑事が登場して、物語が前に進み始めますのでぜひ2話までは見てもらえればと思います。8話のラスト、さまざまな努力や苦労が報われるような静かで美しいラストでした。

令嬢アンナの真実

出典:Netflix

上の2作品に比べ、だいぶクセ強めな作品です。

ドイツの大富豪の令嬢を語り、ニューヨークの上流階級に入り込みセレブを騙しまくったアンナ・デルヴェイの実話をもとにした全9話のリミテッドシリーズ。

これが実在の人物の実話をもとにしたドラマだと知って見ると、余計におもしろいタイプのドラマです。ドラマでの、アンナのあまりにも豪快でぶっとんだ騙しっぷりに(なんと銀行すら騙してしまう!!)、「これほんとなの???」と、つい実際の彼女はどうだったか知りたくなって検索せずにはいられません。

ドラマの語り口ですごくいいなあと思ったのは、アンナの実像はずっと「謎」のまま進む点です。

「令嬢アンナの真実」は、アンナを追う女性記者のヴィヴィアンの視点で描かれます。ヴィヴィアンやアンナを取り巻く(アンナに巻き込まれる)人たちの目線・証言で、アンナの人物像が浮かび上がっていくのですが、そのアンナ像はバラバラ。いったい、どのアンナがほんとうのアンナなのか。

アンナという人間を、わかったように決めつけて描かず、さまざまな証言で浮かび上がらせる、しかもいろんな顔が出てくるという一筋縄ではいかなさが、よりアンナへの興味をかき立ててくれました。

アンナほどではないですが、人は誰しも多面的な表情があって、出会った人の数の分だけその人の人物像があるのかな、なんてことも思いました。

周りのまともだった(はずの)人たちが、無限にアンナに翻弄され続けておかしくなっていく作劇のクールなシニカルさ。アンナの魅力(魔力)に取り込まれていく記者のヴィヴィアンを見ていると、何が正しくて何が狂っているのか、見ているほうも次第に混乱してきてしまいます。その「現実の揺らぎ」感は、ドラマを見る醍醐味のひとつかもしれません

世の中の常識的にはアンナが間違っているとわかっていながら、ドラマを観ていくうちにヴィヴィアン同様にアンナが気になってしかなくなってしまいました。人は、善悪よりも、はみでたおもしろさ(ある種の狂気)にどうしても惹かれてしまう生き物なのかもしれません。

アンナを演じたのは「オザークへようこそ」のルース役でエミー賞助演女優賞を受賞したジュリア・ガーナー。この作品でも主演女優賞にノミネートされました。
髪型もメイクも(もちろん演技も)ルースと全く違っていて、恥ずかしながら途中まで同じ人物だと気づきませんでした。登場人物も視聴者も、なかなかつかまえきれないアンナのキャラクターを見事に演じましたね。

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