「トゥルー・ディテクティブ」シリーズは、マシュー・マコノヒーとウディ・ハレルソン主演の第1シーズンがとにかくすばらしくて、以来毎シーズン見ています。
毎シーズン、異なる主人公と物語のアンソロジー形式で、共通項としての魅力は、「硬派な犯罪捜査もの」「映画的で重厚な映像美」というところでしょうか。
5年ぶりの第4シーズンにあたる「ナイト・カントリー」は、これまでのシリーズとはだいぶ毛色の異なる作品になっています。
なんといっても、最大の注目は主役のジョディ・フォスター。TVドラマではなんと50年ぶりの主演だそう。そしてその相方(バディ)は、プロボクサー、カーリー・レイスという異色の組み合わせ。女性2人の刑事のバディものになります。
これまでの3シーズンは、男臭さ満載の硬派さでしたが、女性が物語の主軸であること、そして、物語の舞台が映画やドラマではほとんど見たことがないアラスカのエニスという田舎町であることで、これまでのシリーズの「男臭さ」「硬派さ」は影を潜め、アラスカという土地の文化の「土着性」「神秘性」をより押し出したストーリーになっていると感じました。
<公式あらすじ>
アラスカ、“夜の国(ナイト・カントリー)”で科学研究所に勤める8人の男たちが忽然と姿を消す事件が発生し、昔の相棒であり、過去の事件から確執のある2人が捜査に当たる。それぞれが抱える闇に向き合いながら氷の下の真実を掘り起こすのだった。(U-NEXTより引用)
1話だいたい60分で全6話。日本ではU-NEXTで配信中です。公式あらすじご紹介の後、多少ネタバレ含む感想をお届けします!
ジョディ・フォスターが口の悪い警察署長
あのジョディ・フォスターが年を重ね、シリーズドラマに出ている。しかもアラスカの田舎町の小さな警察署の署長という役、というのがストーリーどうこう以前にありがたいものを見させていただいている気分になりました。
しかも、ジョディ・フォスター演じる署長のダンヴァースは、口悪し、性格も悪し、さらにかなりパワハラ、というなかなかにひどいキャラクターなんです。
男社会の警察組織で仕事一筋で戦ってきたからこその露悪的なキャラクター造形かと思いますが、それでも、小気味いい演技力とジョディ・フォスター本人からにじみ出てしまう高潔さで、回を追うごとにダンヴァースを魅力的に感じさせるのはさすがだなと思います。
部下に捜査について自身に質問させて、「質問が違う」と言いながら、推理を深めていくやりとりすごく好きでした。ダンヴァースの口癖「質問が違う」はちょっと日常生活で使って見たくなっちゃいますね。(嫌われそうですが)
ピート役のフィン・ベネットがいい!
ジュディ・フォスター演じる警察署長ダンヴァースの部下ピート。ダンヴァースからほぼほぼパワハラな無茶ぶりを受け続ける役どころで、初回からずっとこの困り気味な表情が印象的でした。
ダンヴァースから無茶ぶりを受けて困り顔しながらも、ダンヴァースの優秀さは認めていて、忠実に任務をこなし結果も出すピート。父親のハンクとダンヴァースの間で板挟みになったり、急な仕事続きで奥さんからも家を追い出されたりと、困り顔になる状況ばかりで、笑顔になるシーンはほぼなかったのではないでしょうか。
ピートを演じたのは、フィン・ベネットという俳優さん。検索しても日本語ではほとんどキャリアが出てこないので、この作品で抜擢された感じでしょうか。
登場当初はやけに元気がないキャラクターだなと思ったのですが、悲しげでアンニュイな佇まいと内側に秘める優しさにどんどん惹きつけられていきました。これからの活躍が楽しみですね。
アラスカの神秘性と結びついたミステリー とにかく寒そう
舞台がアラスカということで、一面雪景色な世界はもちろん、街並みや文化事情も見どころの一つだと思います。いつも見ているドラマの世界とは全く異なっていて新鮮に楽しめました。
特に「ナイト・カントリー」の名の通り、太陽が昇らない夜の雪景色の町は幻想的で、部屋を暗くして映画を見るように楽しむタイプのドラマですね。
ジェンダー問題、環境問題、人種問題、アラスカ土着の文化と信仰、様々なテーマを内包したミステリーは、とても大きな物語だと感じました。一方で、物語が大きすぎて、犯罪捜査ものとして見たときには、ややつかみどころがないというか、緊張感に欠けるかもしれません。
これまでの「トゥルー・ディテクティブ」シリーズの犯罪捜査ものを期待して見た人にとっては、ちょっと「思ってたのと違う」となっているかも。
あと、つい忘れがちになりますが、アラスカはアメリカ合衆国だというのを久々に思い出せてよかったです(苦笑)。