観ていて「気持ちがいい」と感じることができるドラマって、ありそうで意外とないんですよね。気持ちがよくて前向きになれて、明日への元気をもらえるようなドラマ。
AppleTV+で配信中の『スティック』は、その「気持ちがいい」を感じることができるドラマです。
あることがきっかけでプロゴルファーをやめ、うだつの上がらない生活をしている主人公プライス(オーウェン・ウィルソン)が、10代の天才ゴルファーに出会い、「コーチ」として再起を目指す、というストーリー。
私はゴルフに全く興味がない人間なので、配信開始当初は触手が動かずスルーしていたんですが、Xでフォロワーの方が褒めているのを見て試しに観始めてみたところ、1話でハマって毎週の楽しみになりました。
1話30分×全10話と、コンパクトでとても見やすく、ベースはコメディタッチのドラマなんですが、毎回ほろりと感動させられます。
コーチと選手、それぞれの再起の物語
『スティック』の大きな魅力は、元プロゴルファーの主人公スティックと、ゴルフが好きで天才的な才能があるものの、家庭環境からゴルファーの道をあきらめていた少年サンティ、それぞれが再起を目指す中で、互いに影響しあって成長していくストーリーです。
特に、コーチとして教える側のスティックが、サンティとの関わり合いの中で、教えるだけでなく自身も人間的に変化・成長していく点がすごく気持ちいいんですよね。ゴルフが題材のスポーツコメディではありますが、その奥にいる人間がしっかり描かれています。
オーウェン・ウィルソンの、「お調子者で軽いけど実はいいやつ」なスティックがぴったりはまっています。
天才ゴルファー サンティ役の子もとても魅力的なんです。
気分のむらっ気含めてものすごく原石感あるキャラクターを見事に演じています。髪型含め、サッカーのアルゼンチンの天才アイマールにちょっと似ていますね。

※出典 AppleTV+
「軽快」で「品がいい」ストーリーテリング
『スティック』が、観ていて「気持ちがいい」、その大きな要因に、ストーリーテリングでの「軽快さ」と「品のよさ」の見事な両立もあると思います。
「軽快な笑い」がある作品は、往々にして下品なネタだったり露悪的な演出だったりがありがちですが、『スティック』は全編を通して品がよくて安心して観られました。その「軽快さ」と「品のよさ」の両立のバランスが絶妙で、「笑って泣ける」作品になっていて観ていて気持ちがいいのかなと思います。
また、全編を通しての品のよさが、「このドラマとこのドラマのスタッフは信用できる」とも感じさせてくれます。

主要登場人物がみんなダメなところあって、だから愛おしい
また、主人公プライスとサンティ以外の、主要な登場人物も魅力的なんですよね。
海外ドラマって、登場人物を誰が誰か把握するのに苦労してしまって、物語に入り込めないことあるかと思いますが、『スティック』はメインの登場人物が少なくて、しかもそれぞれのキャラクターの描き方がうまくて、自然に物語に入り込めました。
メインの登場人物は、主人公プライス、天才少年サンティ、サンティの母親、プライスの元キャディのミッツ、そして途中から登場するゼロの5人。
序盤で、それぞれのダメなところも含めた個性や背景が丁寧に描かれているので、物語を通して登場人物たちが少しずつ成長・変化していくのが自然と応援したくなりました。ダメなところがあるからこそ、どの登場人物にも愛おしさを感じました。

日本では全く話題になっていない!
ということで、『スティック』は、ゴルフに興味ない人でも、気軽に楽しめて笑いと元気をもらえる「気持ちのいい」ドラマだと思うのですが、残念ながらAppleTV+あるあるで、2025年9月現在、このドラマについて日本語で話題にしている人はほとんどいません。
ほんとうにもったいない!
シーズン2への更新も決定しているので、ぜひ日本でも少しでも見られて話題になることを祈ります。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
