【Netflix】『特別捜査部Q』ずっと見ていたい世界観!ネタバレ感想 完成度高い大人なミステリードラマ

久しぶりに「ずっと見ていたい」と思うドラマに出会えました。

Netflixの『特別捜査部Q』。全9話のシリーズ。ここ最近観た海外ドラマで文句なしマイベストな作品です。ぜひシリーズ化してほしいです。

もともとデンマークのベストセラー小説シリーズを原作としたクライムサスペンス映画を、舞台をスコットランド・エディンバラに移してリメイク。2023年のネトフリ最高傑作『クイーンズ・ギャンビット』を手掛けたスコット・フランクが脚本・監督を手掛けた、という時点で期待感が高まりますよね。

『特別捜査部Q』の魅力・感想をご紹介したいと思います。

目次

癖のある登場人物がとにかく愛おしくなる

主要な登場人物が皆、一癖も二癖もあるキャラクターばかり。

大枠のあらすじとしては
エディンバラ警察に新しく作られた、未解決事件を捜査する(窓際)部署「特別捜査部Q」が、ある未解決の事件の再捜査に乗り出す、という、いわゆる「コールドケースもの」です。
ですが大枠のストーリーでは、このドラマの魅力を全く伝えられていない!

マーク
とにかく口が悪いマーク


マシュー・グード演じる主人公のマークは、とにかく口が悪くて偏屈。ずっと毒と皮肉を吐き続けています。いわゆる「嫌なやつ」(ドラマ内でも何度も言われている)なのですが、ドラマ観続けるうちに、その嫌なところも含めてマークをすっかり好きになってしまいます。

ドラマの描き方がうまくて、序盤はとにかく「口が悪くて嫌なやつ」だと、見てる方も悪口を言われているようなストレスを感じる(職場にいてほしくない!)のですが、いつの間にかマークの抱えている苦悩や闇、そしてツンデレな気遣いに共感して、応援したくなっちゃうんですよね。

登場人物のことを「嫌い」から「好き」に反転させる力があるドラマは強いですね。

アクラム
ちょっととぼけた風合いも、とにかく仕事ができるアクラム

そして、マークの相棒シリア人のアクラム。物静かでとぼけた雰囲気なのに、めちゃくちゃ仕事ができて頼りになります。職場にこんな同僚いてくれたらと思ってしまいますね。マークとは上司と部下の関係なのですが、部下であるアクラムが、その器の大きさでマークを導いているようにも感じました。

他にも、途中から特別捜査部に加わるもののメンタル不安定なローズ、マークの元相棒で軽口をたたき合うハーディ、そして腹の底が見えないマークの上司モイラと、周りも皆、一癖も二癖もあるキャラクターばかり。でも、ドラマを見続けるうちに、その「癖」を愛おしく感じてしまい、病みつきになるんですよね。

全9話の短いシリーズで、ここまで登場人物の癖(個性)がしっかり浮き立たせるのは、脚本と演出と演技が、すべてすばらしくかみ合っている証かと思います

マシューたちが繰り広げる、イギリスらしい、皮肉たっぷりの会話の応酬を、ずっと見ていたくなります。

クイーンズ・ギャンビットのスコット・フランクの演出力

脚本・監督が『クイーンズ・ギャンビット』のスコット・フランクということで、画面細部にわたるまでの映像の完成度がすばらしかったです。

ドラマの性質上、『クイーンズ・ギャンビット』ほど、撮影や美術、衣装の魅力が前面に出る形ではありませんが、よく見るとワンカットワンカット、照明の陰影から小道具一つ一つの細部にわたるまで、一枚絵にしてもいいような映像の完成度。しかもドラマを邪魔しないように、主張しすぎずさりげなくドラマの世界観を作り上げているところがすばらしいと感じました。

ドラマ全体の完成度の高さがもたらす「上質さ」が、このドラマをずっと観ていたい、と思わせる理由の一つだと思います。

元ネタ映画『特捜部Q 檻の中の女』観てわかった脚色の見事さ

檻の中の女

Netflix 特別捜査部Qのよい余韻がずっと残ってて、元ネタでもあるデンマーク映画『特捜部Q 檻の中の女』がU-NEXTで配信していたので観てみました。

充分楽しめた一方で、ドラマ版『特別捜査部Q』の物語の膨らませ方、脚色の見事さを強く感じ感じました。
まず映画版は、ドラマ版ほど登場人物の癖が強くありません。前述したドラマ版の登場人物たちの絶妙な癖(個性)は、ドラマ化にあたって深堀りされ、肉付けされたキャラクター造型なのだなと強く感じました。

しかもそのキャラクターの肉付けが、元の映画のテーマを阻害しておらず、更に物語を豊かにしている点がすばらしいです。

そしてドラマ版で感嘆した第1話のラスト、重ならずに平行して進んでいた物語が、一つの事件に重なった瞬間のカタルシス、1話のラストを見た瞬間に「このドラマは間違いなくおもしろい!」と興奮とともに確信したのですが、この1話のラストも、ドラマ版のオリジナルのアイデアでした。

また、シリーズ最終話のラストシーンも愛おしくなるほど最高でしたが、こちらもドラマ版のオリジナルでした。「このドラマを最後まで観続けてよかった」と思わせるラストシーンでした。

短いシーンの中にメインの登場人物たちの個性が凝縮された、ドラマの魅力を最後に結晶化したようなラストシーン。ずっと余韻に浸っていたくすばらしいラストシーンには、なかなか出会えないと思います。最後のマークのなんともいえない表情が最高!

そして、決してクリフハンガーではないのに、猛烈にこのドラマの「続き」を観たくなりますね。

よく、小説やマンガの実写化で、原作を毀損してしまう残念な作品がありますが、『特別捜査部Q』の、原作の骨格を損なわず物語をより豊かにする脚色は、原作もののドラマ化の理想形だと思います。

まとめ シーズン2を心から切望!

主人公マークの口は徹底的に悪かったり残虐な描写もあったりするものの、完成度の高い、良質なドラマを観ると、心が潤いますね。おもしろくて早く続きを観たくて、一気に全9話観てしまいましたが、もっと1話1話かみしめるように観てもよかったなとも思います。

一日でも早くシーズン2が観たいところですが、2025年7月現在、残念ながらまだシーズン2更新の発表はありません。が、原作のシリーズはたくさん続いているようですし、何よりこれだけ完成度高いおもしろい作品なので、きっとシーズン2制作してくれると期待して待ちたいと思います。

『特別捜査部Q』、質の高い大人のミステリーが観たいとき、イギリスならではの毒と皮肉の効いた会話の応酬が観たいとき、ぜひご覧いただければと思います。

最後まで読んでくださりありがとうございました!感謝

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次