【テッド・ラッソ】シーズン3 第6話「ひまわり」感想 宝物のようなエピソード

シリーズもののドラマを見ていると、ごくまれに、本筋のストーリーではないエピソードで、宝物のようなエピソードに出会うことがあります。

今回の第6話「ひまわり」はまさにそれでした。

いわゆる、中抜き回というか、本筋のストーリーからは少し離れ、みんなでどこかに行ったりするエピソードや、アメリカのドラマだとクリスマスの一夜を描く、といったエピソードで、脚本家の人が自由に筆をふるって、思いもよらなかったすてきなエピソードになることありますね。

目次

アムステルダムでの一夜

舞台はアヤックスとの親善試合で訪れたアムステルダム。物語は、不調リッチモンドが親善試合でもしっかり敗戦した「後」から始まります。ほぼ試合を描かず、「その後」から始まるっていうのがなんともよいですね。

お通夜のようなチームバス。テッドは、試合後チームを元気づけようと、1日外出OKの許可を出します。アムステルダムでの自由時間に盛り上がる選手たち。

ここから、選手たち、スタッフ、各々の一夜が描かれます。

ホテルのロビーで議論する選手たち

選手たちの多くは、ロビーでアムステルダムでの一夜をどうするか議論しあいます。
列車でパリに行く案、チューリップ見たい案、クラブのプライベートパーティーに行く案などいろんな案が出ますが、まとまらずなかなか行き先が決まりません。

このパターンは、最後までいっちゃうやつ~、と思いながら見てましたが期待通りの展開で楽しかったです(笑)

ロイとジェイミーのランニング観光

選手たちが一夜をどう過ごすか議論する一方で、ロイはいつも通りジェイミーをトレーニングに連れ出しますが、ジェイミーの発案でランニングしながらアムステルダムの街をめぐる形に。

風車を見たことないロイに対して、自転車で見に行こうと誘うジェイミー。すると実は「自転車に乗れない」、というロイの衝撃の告白。

ロイとジェイミー
出典:AppleTV+

夜のアムステルダムで、こわもてのロイが、ジェイミーのアドバイス受けながら自転車に乗る練習をするシーン、ほっこりしみじみしました。BGMでバカラックの「雨にぬれても」がかかるのも最高の選曲でした。自転車シーンつながりで映画「明日に向かって撃て!」のオマージュでしょうか。
ロイとジェイミーのコンビはどんどん味わい深い関係になっていて、2人のシーン見るのが楽しみになっています。

レベッカの一夜の恋

レベッカとアムステルダムの男性
出典:AppleTV+

オーナーのレベッカは、運河に落ちて出会った男性の家(ボート)で、服を乾かしつつ一夜を過ごします。運河沿いのボートが住まいってすてきですね。人生を重ねた男女の、距離感を探りながらの会話劇、お互いに名前も聞かないまま朝を迎える一夜の恋、レベッカの魅力がすごく出ていましたね。

レベッカは、ここまでのストーリーで、恋愛面で辛いことが多かっただけに、旅先で甘い一夜を過ごして笑顔が見れて、しみじみとよかったなと思いました。

コリンとトレントクリムの語らい

コリンとトレントクリム
コリンとトレントクリム   出典:AppleTV+

ゲイであることを隠しているコリンとトレントクリムのエピソードもすごくよかったです。コリンのことを気にかけ、相談に乗るトレントクリムの寄り添い方が、飄々としながら温かかったですね。

コリンの「望むのは、試合に勝ったとき、みんなが彼女にするように自分の大事な人にキスできる世界」という言葉に胸を打たれました。今後のエピソードにもつながっていきそうです。

まとめ every little thing gonna be all right

旅先の夜って、思いもよらない形で人々を親密にするよなあ、などと思ったのでした。

群像劇でありつつ、登場人物のキャラクターが深堀りされて、より「テッド・ラッソ」というドラマが愛おしくなるすてきなエピソードでした。しかもアムステルダム要素を絶妙に織り交ぜていて、アムステルダムを旅してみたくなりました。

そして、肝心のテッドはというと、ちょっとハイになった状態で、美術館でのゴッホ経由でアメリカンレストランでバスケットボールの試合を見ている最中、バスケットボールから着想を得て、チームの新しい戦術を閃きます。

翌朝コーチのビアードに新しい戦術について説明すると、その戦術はオランダ(元アヤックス)のクライフが編み出した「トータルフットボール」だと言います。導入のアヤックスとの敗戦から、美しく伏線回収してラストにサッカー本筋につながる脚本が見事の一言。

そして、ラストで帰りのチームバスで合唱するボブマーリー「Three Little Birds」の”dont worry about a thing.Cause every little thing gonna be all right”(心配することは一つもない、どんな小さなこともうまくいくから)というフレーズ。今回のエピソード、そして不調リッチモンドを包み込むようなすばらしいフレーズだなと思ったら、「Three Little Birds」は実際にアヤックスのアンセムとしてサポーターが毎試合歌っている曲だそう。
ドラマを見返すと。エピソード冒頭のリッチモンド敗戦シーンで、勝利したアヤックスサポーターたちが確かに歌っていました(しかも冒頭でクライフの振りもしっかり入れていました)!
鳥肌ものの完璧な伏線回収、完全にやられました!

次回以降の新生リッチモンドにも期待ですね。

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