海外ドラマ見たいけど、仕事が忙しかったりメンタルがだいぶ疲れ気味だったりすると、新しい作品を見始めるのがちょっとしんどいなあってときありますよね。特に、見たいけど深刻なテーマだったり、頭を使って見るタイプの難しいドラマだったりすると躊躇してしまいます。
Netflixのドラマ「ジェントルメン」は、そんな疲れたときにもサクッと気持ちよく楽しめる軽快なエンターテイメント作品。キャスト・撮影・照明・編集・衣装どれも目が喜ぶ高品質な気持ちよさで、お話もテンポよくどんどん展開するので、気づくと全8話一気に完走してしまいました。
「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」を彷彿とさせる世界観
公式のあらすじはこんな感じ↓
英国貴族の血を引くエディーは、代々受け継がれてきた屋敷を相続。実はその屋敷が巨大な大麻帝国の本拠地であることを知らされた彼は、やむなく大麻ビジネスの事業主たちと関わることに…。
ドラッグビジネスをめぐる騙し騙されの群像劇、をスリリングかつ軽快かつちょっとカオスに描く作劇で、「クライムサスペンス」というよりは「クライムコメディ」要素が強いです。
ガイ・リッチーのクライム群像劇といえば、長編デビュー作「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」が至高と考えている人間なので、まさに、ロンドンの麻薬ビジネスを舞台に本領発揮、といった感じです。
「軽快さ、遊び心あるカオスさ、おしゃれさのハイブリッド感」、ガリ・リッチー節を堪能できる作品かと思います。
ちょっと脱線。映画「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」の舞台裏エピソードとして、銃がたくさん出てくるクライム映画なのに、実は「誰も死なない映画」というのを知って、当時感心した記憶があります。今回の「ジェントルメン」にもちょっと期待したのですが、今回は普通にたくさん死んでましたね。
このNetflix版ドラマ「ジェントルメン」は、2019年のガイ・リッチー監督の映画「ジェントルメン」のスピンオフ作品。実はオリジナルの映画の存在を知らずに観始めたのですが、スピンオフということに気づかずに、独立した作品として楽しめました。調べてみたら、映画とドラマは「大麻ビジネスの騙しあい」という大枠の設定だけ共通で、登場人物もストーリーも別物みたいですね。Netflix版完走してマシューマコノヒーが主役のオリジナルの映画も観たくなりました。
キャスト スージー・グラス役のカヤ・スコデラリオが圧巻
キャスト版の宣伝キービジュアルもおしゃれですね。キャストも衣装も美術もほんと目が喜びました。
主人公のエディーを演じるテオ・ジェームズもかっこよかったですが、最も目を引いたのはスージー・グラス役のカヤ・スコデラリオ。
服役中の麻薬王の父に代わり、大麻ビジネスを仕切るスージー・グラス。少し上向き気味な強気な佇まい、口元の口角の上がり方、パッツン前髪のヘアメイク、英国ファッション、そして何といってもどんなトラブルも表情変えない冷静さ、すごく魅力的なキャラクター造形でした。
エディーとは、あくまでビジネスパートナーで、恋愛モードに行かないところもすごくよかったですね。
カヤ・スコデラリオ
・1992年3月13日生まれ イギリス ロンドン出身
・主な出演作
「メイズ・ランナー」3部作(2014、15、18)ヒロイン
「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ第5弾「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」(2017)ヒロイン
「バイオハザード ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ」(2021)主演
「ブレイキング・バッド」ファンにはたまらないガス登場
そして、キャストでもう一人。登場でついクスッと喜んでしまったのは、麻薬ものドラマの名作「ブレイキング・バッド」「ベター・コール・ソウル」の「ガス」ことジャンカルロ・エスポジート。
もちろん、このドラマでは「ガス」役ではありませんが、ドラッグビジネスでイギリス進出を目論むアメリカの富豪スタンリー・ジョンストンという、ちょっとガスと重なるような、謎めいた役を演じています。超クールで、腹の底で何を考えているかわからない感じは、まんまガスですね。
これ絶対、ガス役を意識した、よく言えばオマージュのキャスティングですよね?「ブレイキング・バッド」でサブキャラながら鮮烈な印象を残したガスのイメージを、監督も違う全く別の作品でクロスオーバーさせる遊び心、海外ドラマファンにはたまらない仕掛けで楽しめました。
まとめ ウェルメイドなクライムコメディ
クライムもので、あまり「ウェルメイド」といういい方はしませんが、気軽に、かつ、品質の高さに安心して見ることができる作品、という意味で「ウェルメイド」なクライムコメディ、だと感じました。「気軽に見れること」と「品質の高さ」を両立してる海外ドラマって、意外とありそうでないので、ラインナップの中に、こういう作品があるとありがたいなあと思います。
2024年3月現在、シーズン2の製作は発表されていませんが、ぜひ継続してほしいですね。