Netflix『ウェンズデー シーズン2』ネタバレ感想 後半6話7話8話のシリーズ構成と脚本が圧巻!

ウェンズデー シーズン2

※ほぼすべてネタバレ感想になりますので、未視聴の方はご注意ください

楽しみに待ちに待っていたNetflix『ウェンズデー』シーズン2。第1話から、ワンカットワンカットの構図・美術・衣装・メイク等々、映像の完成度のあまりの高さに、すぐに観てしまうのはもったいないと、ゆっくりゆっくり少しずつ味わうことにしました。

アダムズファミリー
スティーブ・ブシェミ演じる新校長(画像左)が登場!

そんな中、圧巻だったのはシーズン2後半の6話、7話、8話。ゆっくり観るつもりが、おもしろすぎて一気に観てしまいました。どのエピソードも一本の映画として公開してもおかしくないほどのクオリティと見応えだったと思いました。

映像の完成度やキャラクターの魅力が注目されがちな『ウェンズデー』ですが、6話から8話に関しては、シリーズを通しての構成・そして脚本の見事さに感嘆しました。

普通のシリーズものだと
「シリーズ全体の縦軸になるストーリー」+「1話ごとに解決するストーリー」という構造が主流かと思いますが

「ウェンズデー シーズン2」は、「シリーズの縦軸になるストーリー」と「サイドで進行するストーリー」がいくつもあり、それぞれのストーリーラインが絶妙に交錯しながら進行していきます。

序盤は「ウェンズデーを狙う隻眼カラスとその黒幕の謎」「イーニッドの死を防ぐ」という2つの縦軸に、「サイコすぎるストーカー新キャラ 透明人間アグネス」、そして弟パグズリーが生き返らせた「スラープ(ゾンビ)」、いかにも怪しい新校長(スティーブ・ブシェミ!)などさまざまなサイドストーリーが進行。

前半戦のラスト第4話で「ウェンズデーを狙う隻眼カラスとその黒幕」のストーリーが解決したと思ったら、そこから「ハイドのタイラーと母」の物語が新たに立ち上がり、そこに序盤は無関係に進行していると思っていた「ゾンビ(アイザック)」の物語が重なり、シリーズ後半は、より大きな縦軸となって展開します。

更に、ウェンズデーとイーニッドのみんなが見たいストーリー、新キャラのサイコすぎるストーカー アグネスのキャラクターをより深めるストーリー、そして、最終話ではまさかのあのキャラクターのストーリーまで!と、さまざまなストーリーが多層的に重なり合い、かつ絶妙に響き合って、精巧で奥行きのある魅力的なドラマになっていると思います。

それでは、特に感嘆した6話、7話、最終話8話、各話の魅力を語りたいと思います。
※繰り返しになりますが完全ネタバレ感想ですので、未見の方はご注意ください。

目次

6話みどころ 贅沢すぎる入れ替わりエピソード ジェナ・オルテガとエマ・マイヤーズの演技合戦が最高

中が入れ替わったウェンズデーとイーニッド
中が入れ替わったウェンズデーとイーニッド。ニヤニヤしながら何度見見たくなる演技

6話の見どころはなんといってもウェンズデーとイーニッドの入れ替わり。そう、『君の名は。』の「入れ替わってる!?」です。

入れ替わりものの作品は数多くありますが、この第6話の入れ替わりが贅沢なのは、シーズン2の6話という、ウェンズデー、イーニッド、それぞれのキャラクターについて視聴者がすっかりなじんでいるところで伝家の宝刀的に展開していることです。

しかも、ウェンズデーとイーニッドという、まさに「陰と陽の象徴」のような真逆の性格のキャラクターを、それぞれの俳優が入れ替わって演じるところが、ずっと観ていたいぐらい楽しいですね。

演じるジェナ・オルテガとエマ・マイヤーズも、寄せすぎ・やりすぎなぐらいに入れ替わった演技が、めちゃくちゃうまい!2人とも絶対におもしろがって演じているんだろうなとニヤニヤしながら観ていました。現場も絶対楽しそう!

オルテガとエマ・マイヤーズにとっても、2シーズン目の半ばという、それぞれのキャラクターと演技について深く理解したタイミングでの入れ替わりだったからこそ、思い切りやり切って遊べて、より魅力的な「入れ替わりもの」になったんじゃないかなと思います。

加えて、この「入れ替わり」が6話単体のための仕掛けではなく、序盤からの縦軸になっていた「イーニッドの死を防ぐ」ための鍵になっているのもニクいほど見事な脚本・構成だなと感じました。ニクいね三菱。

BLACKPINKを踊り狂うウェンズデー
見たことない笑顔でBLACKPINKの曲を踊り狂うウェンズデー

6話の冒頭、いきなりキャラ変した見たことない笑顔のウェンズデーが、BLACKPINKの曲で踊り狂うアバンには呆気にとられましたが、それもちゃんと本編のストーリーにつながっているのも見事ですね。

冒頭「こんなウェンズデー・アダムズ見たかったでしょ」のセリフが、(ウェンズデーファンのみなさん)本家が本気の二次創作見せてあげますよ」という制作チームからの自信満々の宣言にも聞こえました。最高のファンサービス回でもありますね。

7話みどころ シーズン2新キャラ 透明人間アグネスの成長と友情

アグネス
とにかくおめめがクリクリしている新キャラ アグネス

7話の表のストーリーは、新校長(スティーブ・ブシェミ!)の悪だくみですが、陰の主人公はシーズン2からの新キャラクター 透明になる能力を持つアグネスだったと思います。

序盤から、ウェンズデーに対して、サイコすぎるキモストーカーぶりを発揮し続けてきたアグネス。ところが、6話で、ウェンズデー(中の人は入れ替わったイーニッド)に「ずっと透明でいればいい」とクリティカルな悪口を言われ落ち込み、バラバラの会(バラバラになった体の一部のサポート会。シュールすぎる)に参加したあたりから、見てて一気にシンパシーを感じるようになりました。サイコまっしぐらなアグネスですが、実は「透明であること」にコンプレックスを感じていたんですね。

ウェンズデーに憧れて執着するのも、ウェンズデーに認められることで「透明でなくなれる」という思いからなのかなと感じました。

おめめがほんとうにクリクリしてて、涙を浮かべた悲しげな表情についつい同情してしまいます。

そして7話、これまで犬猿の仲だったイーニッドから透明でいるのが嫌なら、他人の人格に隠れるのを止めたら?サイコなアグネスでいなよとアドバイスされ、アグネスは元気を取り戻します。

つけていたウェンズデー風のかつらをとるシーン、象徴的ですごくよかったですね。

思えば、「自分らしく生きる」っていう青春ものの王道モチーフなんですが、それを、サイコな透明人間アグネスの成長エピソードに盛り込んだことで、王道なのに新鮮に感じました。それにしてもサイコな自分らしさを大切にって、すごく懐の深いメッセージで、ドラマ「ウェンズデー」の世界観にもぴったりですね。

アグネスとイーニッド
何度も見ちゃうダンスシーン ※出典 Netflix

7話終盤の見せ場、イーニッドとアグネスのダンスシーン、2人ともかわいすぎて最高すぎました!しかも、「ウェンズデーを模倣するのをやめ、(サイコな)自分らしさを大切にする」アグネスの成長を表現する象徴的なシーンになっているのも、ほんとうに脚本と演出が上質だなあと感じました。

イーニッドとアグネス

シーズン2序盤までは、ウェンズデーとイーニッドの関係が、物語的にもビジュアル的にも完璧すぎて、誰も入り込む余地がないと思っていましたが、アグネスが、キャラクターも演じる俳優さんも魅力的で、ウェンズデーとイーニッドの関係に気持ちよく調和して、物語終盤には「3人」の関係になったと感じます。アグネスの言う「三銃士」の活躍、これからも楽しみでなりません!

ちなみに「透明人間のストーカー」っていうのは、物語の進行的にも、めちゃくちゃ使い勝手のいいスペックだなと思いました笑。大事なところで、アグネスがもれなくストーキングして目撃してくれてストーリーを転がしてくれるの、脚本家さんにとってもきっとありがたいですよね。

最終話8話みどころ まさかの「ハンド」の物語

ハンド
最終回はまさかのハンド回

正直、6話のウェンズデーとイーニッドのメインキャラ二人の入れ替わり友情エピソードがシーズン2の最終回でいいぐらいの完成度とエモさで、7話では新キャラのアグネスの成長物語(あとスティーブ・ブシェミの新校長の退場)まであって、「最終話、これ以上どんなストーリーがあるんだろう?」とちょっと不安だったのですが、まさかの「ハンド」が主人公のエピソードそうきたか!と唸りました。

もちろん、メインのお話は、シーズン2後半の縦軸 タイラーとアイザック姉弟のストーリーに落とし前をつけることなのですが、そこにレギュラーキャラのハンドが超密接に関わってくるとは!

文字通り「ハンド(手)」が主人公の物語は、史上初ではないでしょうか!

思い返せば、6話のバラバラの会(バラバラになった体の一部のサポート会。何度見てもシュールすぎる)など、ハンドの自分探しについては、しっかり伏線が張られていたんですよね。

最終話でついに、ハンドの出生の秘密(ハンドがハンドになった秘密)が明かされ、持ち主がアイザックであることが明かされます。

ハンドが主人公のエピソードとは思いもよらずに見ていたので、ハンドがアイザックの手だったと明かされ、アイザックの腕に結び直されるシーンは、完全に盲点を突かれ衝撃でした。

そして、ハンドが最後には、自分の意志で、アイザックの元を離れ、アダムスファミリーを選ぶところも、実はとてもメッセージ性の高い、考えさせるシーンだなと感じました。

血縁(まさに血がつながっている)のアイザックではなくて、自分にとって大切な相手を選んで生きていく。7話のアグネス回もそうですが、「常識や慣習にとらわれず、個性を大切にして自分らしく生きていく」というのが、このドラマに通底するテーマなのかなと感じました。

ハンドが、アイザックの心臓を引っこ抜いてしまうのは残酷すぎると思いましたが、「手(ハンド)」の演技に、こんなに人格が宿って見える(見せる)、という作品は、後にも先にも『ウェンズデー』だけでしょう。創造性あふれるエピソードだったと思います。

動きのおもしろさにばかり注目して見ていたハンドが、こんなに深みのあるキャラクターになってしまって、もう一度シーズン1からハンドに注目して観直してみたくなります。

まとめ シーズン2で更に進化した『ウェンズデー』の世界

シリーズもので「シーズン2がシーズン1を超える」ということはなかなか難しいと思いますが、『ウェンズデー』は、シーズン1自体がものすごく完成度高かった中で、それを超えたといっても過言ではないシーズン2だったと思います。

ブログ書くためもあって、改めて観返してみて、「これとこれも伏線だったのか!」と新たな発見もたくさんありました。シリーズを通しての脚本と構成が、精巧なパズルのようで、ほんとうに練られているなあと感心しました。

シーズン3が今から楽しみでなりません!狼化したイーニッドがエマ・マイヤーズに戻れますように!

最後まで読んでくださりありがとうございました。

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