さまざまな動画配信サービスの中で、最近気づくとAppleTV+のオリジナル作品を観ることが多くなっていると感じます。
AppleTV+は作品数こそ多くないのですが、打率が高いというか、作品の質が総じて高く、外れが少ないのがその理由かもしれません。特に以前は、映像や編集のクオリティは高いものの、ドラマとして見たときに「肉でも魚でもない」、あまり心に残らない作品も多かった印象ですが、最近はグッと心に響く作品が増えてきた気がします。
それなのに、、、
AppleTV+の作品はネトフリやU-NEXTに比べて全然見られていない!
いいドラマだと思って、ほかの人の感想も見たいと、GoogleやXで検索しても感想がなかなか見つからない!
という、もったいないかつ個人的に悔しい状況。
そこで、私が実際に見てぜひぜひおすすめしたい作品5タイトルを紹介したいと思います。
シリーズドラマからリミテッドシリーズまで、相性はあるかもしれませんが、作品の質の高さはどれも自信を持ってお勧めできるドラマです。ぜひ参考にしていただけるとうれしいです。
テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく
まず最初にご紹介するのは「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」。
アメリカのアメフトの監督だったテッド・ラッソが突然イングランドのサッカー・プレミアリーグの監督に就任して…というコメディタッチのヒューマンドラマです。
プライムタイム・エミー賞で、作品賞コメディシリーズ部門を2年連続で受賞しています。
ぱっと見、アメフトとサッカーの違い=アメリカ文化とイギリス文化の違い、をモチーフにしたコメディ要素がドラマの魅力かと思いますが、「テッド・ラッソ」の最大の魅力は、主人公テッドの明るさと前向きが、周りの人々にポジティブな影響を与えていく、というところだと思います。
表面的にはコメディなんですが、コメディの皮をかぶりつつ、内側に感動要素を隠し持っていて、実は感動ドラマでもあります。笑いと涙のバランスが抜群で、「笑っているうちに、気づいたら感動して涙している」こともしばしば。
どんな逆境も、ユーモアでポジティブに変換するテッドを見ると、自分も「より善く」生きようと思える、心にかかったもやが晴れるようなドラマです。
ちなみに、星野源さんも自身のラジオで絶賛しています!
特にシーズン3は神回連発なのでぜひぜひ見てほしいです。
現在シーズン3まで配信中。実はシーズン3で美しく完結したかと思っていたのですが、続編かスピンオフ製作の噂もちらほら。「テッド・ラッソ」の世界、ぜひまた見たいですね。
シーズン3の感想ブログも書いていますのでぜひ覗いてみてください。
窓際のスパイ
続いて紹介するのは、ミック・ヘロンの小説シリーズが原作の「窓際のスパイ(Slow Horses)」です。イギリスのMI5の落ちこぼれスパイたちが集められた部署「スラウ・ハウス=Slough House =泥沼の家!」を舞台にした、ブラックユーモアの効いたスパイドラマです。
とにかく、落ちこぼれ部署「スラウ・ハウス」のボス、ラムを演じるゲイリー・オールドマンの枯れ芝居が最高です。皮肉屋で徹底的に口が悪いのですが、大事なときに頼りになる、一癖も二癖も三癖もあるキャラクターを味わい深く演じています。ゲイリー・オールドマン本人がこの作品で俳優業の引退を示唆する発言をしているのもあり、ラム役への思い入れも感じます。
「スラウ・ハウスの」のスパイたちは皆、過去に何かしらやらかしてしまった(ダメ)スパイたち。007やミッション・インポッシブルと違って、落ちこぼれならではのドジっ子ぶりが他のスパイドラマにはない味わい深い魅力になっていて、そのダメさに愛おしさすら感じてしまいます。
いわば、英国スパイ版「ショムニ」(古い)。ゲイリー・オールドマン演じるラムが江角マキコ、といった構造ですね(強引)。
そして、魅力はスパイたちのダメさだけではありません。スパイドラマならではの謎解き・騙し合いも大きな魅力。ストーリーに何度だまされたことか!スパイドラマならではの、「だまされる快感」も十分味わえるかと思います。
ダメなスパイたちの「緩さ」とスパイドラマらしい「緊張感」のバランスが独特できっと癖になるはず。
「窓際のスパイ」は、Apple TV+で2024年9月現在、シーズン4まで配信中。クリフハンガーなしでシーズンごとにストーリーがきれいに完結するのも良心的です。シーズン5の制作もすでに発表になっています。
シーズン3の感想ブログ書いていますのでよろしければぜひ!
レッスン in ケミストリー
続いては「レッスン in ケミストリー」。1950年代のアメリカ、男性優位の世界で研究の道を絶たれた化学者エリザベス・ゾットが、ふとした出会いから料理番組のホストに抜擢されて、女性たちにレシピ以上のものを伝え始める…というあらすじです。
全8エピソードで美しく完結するリミテッドシリーズなのですが、このドラマの大きな魅力はシリーズ構成の見事さ。上に書いたあらすじは、決して間違っていないのですが、実際に見てみると、上のあらすじでは伝えきれない、豊かな物語に出会えます。1話1話のそれぞれのストーリーと、8話全体での大きなストーリーとの、まさに「ケミストリー=化学反応」の見事さに舌を巻きます。
上のあらすじからは想像しなかった展開やエピソードの連続で、いい意味で予想を裏切ってくれる展開の連続です。
連続した時間で1つの物語を描く映画とは異なり、複数の話数で一つの大きな物語を紡ぐ、という「リミテッド・シリーズ」の枠組みの、こんな活かし方があるのかと感心しました。
独立した原子と原子が結びついて分子になるように、さまざまな個性を持つ独立した1話1話の物語が美しく結びついて「レッスン in ケミストリー」という一つの大きな物語が立ち上がります。
「レッスン in ケミストリー」の感想はこちら↓
シュガー
続いては、コリン・ファレル主演の「シュガー」。
主人公の私立探偵 ジョン・シュガーが、ハリウッドの大物プロデューサーの孫娘の失踪事件の謎を探る、というストーリーですが、今や絶滅危惧種ともいえるハードボイルドに徹底的にこだわった語り口・作劇で、世界観にどっぷりつかれるドラマです。
なんといっても、シュガー役のコリン・ファレルのハードボイルドなかっこよさがたまりません!スーツ姿、車を運転する仕草、女性に対してジェントルなふるまい、犬とのふれあい、とにかく絵になります。(ちょっとやりすぎなぐらいのかっこよさなんですが、そこに実は秘密があって…。)
1話30分で全8話。1話をサクッと観れるのも魅力ですね。
そして最後にもうひとつ。物語後半に、ドラマ史上に残るのではないかとすら思う「アレ」もありますので、ぜひネタバレ回避しつつご覧いただければと思います。
「シュガー」の感想ブログはこちら↓
ニュールック
最後にご紹介するのは「ニュールック」。ファッションデザイナー、クリスチャン・ディオールとココ・シャネルの知られざる真実を描く伝記的ドラマです。
1話だいたい50分×全10話。美しく完結するリミテッドシリーズです。
ドラマを見る前は、キラキラしたファッション業界ものをイメージしていましたが、全く異なる物語でした。想像以上に「骨太で上質」な物語でした。
序盤は内容が重く、見るのがしんどいかもしれませんが、デザインとは?ファッションとは?何なのか、その本質を考えさせてくれ刺激してくれるドラマです。
ファッション・デザインを志す人にぜひぜひ見てもらいたい作品です。
まとめ ほかにもAppleTV+は良作がたくさん
トップ5には入れられませんでしたが、他にもジェイク・ギレンホール主演の「推定無罪」、イドリス・エルバ主演のスリル満点「ハイジャック」、ゲーム会社を舞台にしたコメディ「神話クエスト」、まだ見れていませんがシーズン2も絶賛されている韓国ドラマ「パチンコ」などなど良作が数多くあります。(だがあまり見られていない…
特にAppleTV+と個人的な利害関係あるわけじゃないのですが、あまりにも見られていなくてドラマ制作の予算を削減する、というニュースもあったりしてAppleTV+で良作を見ることができなくなってしまうのでは?という心配もあっておすすめ作品紹介させていただきました。
最後まで読んでくださりありがとうございました!