【テッド・ラッソ】丁寧な伏線回収と穏やかなラスト シーズン3 最終回(12話)「さようなら」 ネタバレ感想

テッドラッソ12話

いきなりタイトルが「さようなら」で、「テッドがチームを去るの決定かい!」とツッコミつつ、物語も冒頭から、テッドがチームを去ることはチームの皆に伝え済み、という状況でスタートします。普通のドラマなら、テッドがみんなにチームを去ることを伝えて、いろいろやりとりが繰り広げられるっていう展開ありそうですが、その辺を一気に間引いてしまうのがスマートですね。

目次

レベッカがリッチモンド売却?

出典:AppleTV+

テッドが去ってしまうということで、クラブの売却を考えるレベッカ。

息子ヘンリーのためにアメリカに戻るテッドに理解を示しながらも、チームにとってのテッドの存在の大きさを誰よりも理解しているレベッカは、テッドが残らないなら自分もチームを去る(売却する)と伝えます。なんとかテッドに残ってもらいたいと、超高給の提案や家族をイギリスに呼ぶ提案をしますが、テッドの気持ちはすでに固まっていました。

「自分とテッドの2人とも去るか、2人とも残るか」と言っていたレベッカですが、最終的にはレベッカ自身は「持ち株の49%をサポーターに売却する」形でリッチモンドに残ります。
パブでリッチモンドサポーターから感謝を伝えられたのが、クラブを残る決断の要因になったのかなと思いました。

最後のダイアモンドドッグズ

これまで頑なにダイヤモンドドッグズ入りを拒否し続けてきたロイですが、再びジェイミーとの間でキーリーをめぐって三角関係が勃発したことで、なんと、自らダイヤモンドドッッグズ入りを申し出ます。

ロイの悩みは、「いい人間になりたい。人は変われるか?」という相談。

各々の考えを言い合う中で、ダイヤモンドドッグズらしく話は脱線。最終回で、ダイヤモンドドッグズのくだらないボーイズトークが聞けて最高だな、と見ていたら、まさかのヒギンズが名言を発します。

「人間は完ぺきにはなれない。できるのは助けを求め続けて、いざ、その手が差し伸べられたときは受け入れること。それを忘れなければ、常にいい方向へ前進できる。」

個人的に、助けを求めることも、差し伸べられた手を受け入れることも苦手なので、この言葉はすごく響きました。これまで、おとぼけサブキャラの要素が強かったヒギンズが、最終回でさらっと名言を発する意外性も効いていました。
最終回で忘れずにダイヤモンドドッグズを発動させてくれたこともうれしかったです。

テッド ハーフタイムのラストスピーチ

優勝の望みがあるシーズン最終節、リッチモンドは前半2点のリードを奪われ劣勢に。

さまざまな名スピーチが生まれたリッチモンドのロッカールーム。テッドにとって最後のハーフタイムでの言葉も、テッドらしさ満載でした。

「後半については、どうなるかわからん。そうだろ?誰にもな。わかったらスポーツはおもしろくない。君たちの給料だって大きく下がる。
未来は知らなくていい。今、この瞬間を生きたい。
まあ確かに何点かとられている。でも、重要なのは一生懸命、賢く、力を合わせること。
みんなでやろう。“ベストを尽くせた”って穏やかな気持ちで終わろう。

そして極めつけの感動シーン。ネイトが破り捨て、さらにテッドも破って捨てたBELIEVEの張り紙の端切れを、選手たちが1枚ずつ大事に持っていました。そして再び、“BELIEVE”の文字が完成します。

出典:AppleTV+

第7話で、トータルフットボールに取り組んだときに分からないままだった、重要なことの”4つ目”が見つかりました。見事な伏線回収でした。

丁寧な伏線回収の数々

他にも最終回では、シーズン3で描かれたさまざまなエピソードの丁寧な伏線回収があり、カタルシスたっぷりでした。

・ロハスとヴァンダム(ゾロ)の和解・・・10話「インターナショナル・ブレイク」
・ナイジェリア代表に選ばれるオビサニア・・・10話「インターナショナル・ブレイク」
・父親に会いに行ったジェイミー…11話「マム・シティ」
・試合終了後のヒューズと恋人とのハグ・・・9話「ロッカールームでの告白」
・レベッカの空港での再会・・・6話「ひまわり」
・テッドがオフサイドに誰よりも早く気付く・・・全シーズン通して
などなど

こういう、見続けてきた人へのご褒美のような演出、このドラマへの愛おしさがより深まりますね。

唯一、10話でレベッカのおかげで初心を思い出し、善キャラに転換したかなと思ってたルパートだけは、再びいつものマッチョ悪役に戻ってしまっていて、そこだけちょっと謎でした。

静かで穏やかなラスト

エピローグ的にそれぞれの登場人物の“その後”が描かれるラスト、穏やかでとてもよかったですね。

特に、キーリーがレベッカにリッチモンドの女子サッカーチーム設立を提案するシーンと、ロイがセラピーを受けるシーンは、短い時間の中で、キーリーとロイの成長を感じさせてくれるとともに、このドラマを通してずっと背景的なメッセージにあった、スポーツ界のマッチョイムズへの極めつけのカウンターアンサーだなと感動しました。

3シーズン見終えて

「テッド・ラッソ」シーズン3、特に後半は、自分の中に大切にとっておきたくなるすばらしいエピソードの連続だったなと思います。もっと若いときに聞いていたら、もっと善く生きれたかも、という響く名言が数多くありました。

3シーズン通して、基本的にコメディがベースにあることもあり説教臭さが全くなく、笑いと感動のバランスが絶妙で、ドラマが伝えたいメッセージが、上質なボディオイルのように染み込んで、心が潤った感覚になりました。

いつかまた、心を潤したいときに、シーズン1から見返したいなと思います。

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